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学長メッセージ

聖トマス大学学長 大井 静雄


2013年 聖トマス大学創立50周年を迎えて

 聖トマス大学は1963年4月に設立され、本年、2013年、創立50周年の記念すべき節目の年を迎えます。当時の日本の状況を鑑みますと、1963年に大学が新設されることのひとつの大きな意義として、1945年に終戦を迎えた日本が、戦後に生を受けた世代の始めての大学入学の年に当たることが強調されるでありましょう。正に、日本の国家、国民が、歴史的にも最大といえる苦境・逆境の時代から立ち上がらんとする時代であったかと思われます。本学の創立の歴史を、歴代の学長、諸先生によって記されたところから回顧してみますと、創立者であられる田口芳五郎枢機卿によって、英知大学は、いわばヨーロッパ中世の大学発祥の歴史のごとく、神学部神学科が創設され、更に翌年には英文科がスタートしています。そこにある理念には、関西における初めてのカトリック大学として、広く社会に神学研究の場を提供すること、さらには、当時では先駆的ともいえる国際人の育成が、際立った特色でありました。そして、設立の当初から、本学は、カトリック精神に基づく建学の精神のもとに、「英知」(sapientia)を核として、学問の研究と人間形成を目指す大学として発展しました。

 記念すべき創立50周年にあたる本年、本学1970年卒業生の同窓会にお招き頂きました。英知大学が設立され、その同窓生は、50年間でおよそ1万人に及びますが、1970年卒業といいますと、大学が設立され数年後に本学で学ばれた世代の方々であられます。それも第2次世界大戦終結の直後に生を受け、戦後の日本と共に成長し、苦境を乗り越え、今日の日本の一端を築き上げてこられました。またその中の多くの方々は、海外においても活躍され、日本の国際的発展にも貢献されてこられています。私は、これぞ、本学の設立時の建学の精神、教育の理念に基づく大学教育の実績であり、英語・スペイン語・フランス語等の語学教育にも力を注いだ、先駆的なグローバル教育の成果であると、感激を覚えた次第です。その実績は、その後も本学の50年の教育歴に示されています。

 本学の教員、職員、先輩諸氏、卒業生の皆々様のご尽力により、大学創立以来50年の歴史の中に、このような輝かしい実績が築かれてきました。その間、国際情勢は著しく変遷し、日本も、戦後の苦境・逆境の時代から立ち上がらんとする時期を経て、20世紀後半には、「技術創造国」、「知的創造国」として、Japan as Number One の時代を築いてきました。しかしながら、21世紀には、その国際情勢はもとより、国内におきましても解決すべき様々な問題に直面する状況に置かれ、我が国の高等教育に求められるもの、さらにはそのあり方に大きな変化が生じ始めています。いつの時代にあろうとも、大学の使命には、学問と真理の探求・教育がなくてはなりません。その高次の高等教育には、優れた実績を持つ教員が必要です。そして、教員とともにそれを最良に機能的に運営していく職員、さらには、大学の経済基盤を保持する経営にも有能な人材が必要です。これらが、協調的に働いて、はじめてその大学固有の機能が発揮されます。大学という、特有な共同体においても、一つの国からひとつの個体に至るまでの共通原理として、その国家、共同体、個人のそれぞれが持ちうる最大の機能の発揮には必ずしも順調な時期のみではなく、苦境・逆境に陥ることもあることは例外的ではありません。そして、その逆境を乗り越えたなら、その固有の特有な機能は、以前にもまして強い力となって発揮されるものであることを、私達は、様々な例をもって学び、体験してきました。

 新約聖書にある、聖パウロのコリント人へ手紙の一節(新約聖書12章‐26節)のことばに、「体のうちに分裂がなく、かえって各部分がわけへだてなく互いのことを配慮し合っています。一つの部分が苦しめば、すべての部分が共に苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分が共に喜ぶのです、、、」。2000年の歳月が流れた今も、聖パウロの”一体化の原理”は、一つの個体のみならず、共同体においても、普遍的な真理として見出されます。大学という共同体におきまして、私達は、今、大学を構成する一人ひとりがこの言葉を実践し、目標を達成せねばならないと自覚しています。

 本学創立50周年記念の事業の一環として、現在「学校法人英知学院 聖トマス大学創立50周年記念誌」の編集作業を終えました。そして、この記念誌を手にもって、卒業生の皆様と共に、本校の輝かしい歴史を振り返り、さらなる発展を目指すべく、ささやかな行事を企画しております。2013年11月4日(祝日)には、同窓生の皆さまお誘いの上、ぜひともご出席賜りますようご案内申し上げます。
 50年にわたる本学へのご指導に感謝申し上げますとともに、同窓生の皆々様の益々のご健勝をお祈り申し上げます。今後とも、宜しく、本学をご支援下さいますようお願い申し上げます。

(2013年10月15日)
※「SAPIENTIA No.23」より。